便所の独白

まさに便所屋で起きた出来事の独白。つまり便所の落書き。

DAY4 必要なネジの数を数えろ

ラックを作製するので必要なネジの数を数えろ

メーカーなので5Sは当然です。私も少しは知っています。でも実態としてなかなか完璧な整理整頓ってできないですよね。だって、作るものは日々変わる。新しい設備は導入される。掲示物は増える。私みたいに入社した分、人員は増える。退職する人がいれば人員は減る。

日々変化しているのに必要なときに必要なだけのシステムのハードウェアを都度用意するってのは死ぬほど大変なんですよ。

実験とか研究とか開発、生技、なんかみたいな非ルーチン業務だとなおさらです。そこに輪をかけて会社員ってのは怒られたくないから廃棄の決断できない人多いし。気がついたら現場は設備と備品の山です。

そんな職場に配属された私ですが、入社後職場の整理にラックを製作することになりました。といっても入社間もない雑用係です。

職場の先輩にラックを作るから、今あるラックについているネジの数を数えてこいと言われました。同時に必要なワッシャやナット、ブラケットの数も。

同業の方ならわかると思いますが、ネジやナットは100個とかのまとめ買いの方が安くなります。そして汎用品なので他のことにも転用できるし、破損やネジ山の損傷で予備も必要です。ですが「必要な数だけ買うからネジの数を数えてこい。」と。1つの間違いもなく。

ちなみに今から作るラックは今あるラックの拡張版で全く同じというわけではありません。なので3DCADでモデルとBOM表を作るとか、MISUMIのFramesとかのサービスで設計図と同時に必要な部品や加工を決めることもできるし、そのまま発注することもできます。付け加えれば、部材の干渉もわかるので設計ミスにも気づくし、組み立ての作業性の確認や、組み立てサービスに依頼することもできます。

そこは、DXを前面に押し出す建材、トイレメーカー。各種デジタルツールを使うのかと思いきや、「現物主義」の名のもと思考を放棄して、1、2、3・・・とよく似たラックのネジを数えるのが技術者のお仕事だそうです。

ちなみになぜ、ネジの数を1本も間違えずに購入しなければならないのかというと、定数、定量という活動があり、定数を決めていない部品の在庫を持ってはいけないからだそうです。

生産性を上げて、業務時間を削減し、在庫を持ちたくないなら、やや余剰に発注して、余った分は破棄(有価金属回収)にでもだせばいいのですが思考停止したぎじゅつしゃのもとで入社間もない私がそんな提案しようものならどうなるか、おおよそ日本企業での経験のある私は何も言わずにネジを数えたのでした。